※前編と後編に分けて記事にしてたのを1記事にまとめました。
UVI World Suiteがバージョンアップしましたので、早速バージョンアップしました。
というわけで新規追加された音色のレビューと各楽器についての簡単な情報をまとめました。
前のバージョンのレビューを地域別で書いてますので、そちらをご覧いただければ幸いです。
※新規追加パッチのフォルダ名には「WS2」と付いてると思われます。なので判別しやすいです。
一覧は公式サイトにあります。
アジア
増えたパッチ(アジア)
- Er Hu 2 WS2(二胡)
- GuQin(古箏)
二胡
音域の変更
Er Hu 1 : A2~G4
Er Hu 2 : D3~G6(実音)
下は"Er Hu 1"の方が出るので単純に広がったわけではないですね。
また、"Er Hu 2"はオクターブ上が鳴ります。
音質・ダイナミクスの改善
"Er Hu 1"では、モジュレーションホイールでダイナミクスを表現しようにも、音はかすれてるし途切れるしで全くダメでした。
しかし"Er Hu 2"では改善されてます。
Er Hu 1
Er Hu 2
古箏
キースイッチ(奏法)がありませんので、トレモロなどは1音ずつ打ち込む必要があります。
"GuQin"、"KloroQin" の2つのパッチがありますが、楽器自体の違いは調べてもよく分かりませんでした。
音はこんな感じ(前半:GuQin / 後半:KloroQin)
どちらも中国の楽器ですね。二胡はかなり改善されたと思います。
オーストラリア
増えたパッチ(オーストラリア)
- Didgeridoo 2 WS2(ディジュリドゥ)
Didgeridoo
"Didgeridoo 1" と "Didgeridoo 2" は全く別物と考えた方が良さそうです。
もともと効果音的な音が鳴る楽器だと思うので、個体差が激しいのかなと思われます。
そのせいか、出音も全然違う物でした。
音はこんな感じです(前半:Didgeridoo 1 / 後半:Didgeridoo 2)。
※MIDIデータは全く同じものを使用してます。
ディジュリドゥはこんな楽器。
東欧
増えたパッチ(東欧)
- Chonguri(チョーグル)
- Panduri(パンドゥリ)
- Contrabass Panduri(コントラバス・パンドゥリ)
- Georgian Duduk(グルジア・ドゥドゥク)
- Salamuri(サラムリ)
- Weltmelster Accordion(ヴェルトマイスター・アコーディオン)
Chonguri(チョーグル)
アゼルバイジャンとジョージアで一般的な撥弦楽器。
ギターの様に構えて弾く。
収録内容・音の印象【Chonguri(チョーグル)】
収録内容としては、奏法が12種類もあり(コード演奏も含む)こだわりを感じる。
音もイイ感じ。
Panduri / Contrabass Panduri(パンドゥリ)
グルジア(ジョージア)の撥弦楽器。
ギターの様に構えて弾く。
スパニッシュな演奏ですねぇ。
音の印象【Panduri / Contrabass Panduri(パンドゥリ)】
Panduriには3弦タイプと2弦タイプがあるようだ。UVI World Suite 2 に収録されているのがどちらかは不明だが、画面上のイラストは3弦タイプである。
3弦タイプはウクレレくらいのサイズ。
Contrabass Panduriの方はどのくらいの大きさかわからず。
他の音源にはなかなか収録されてないようなマニアックな楽器なのが好いですね。
"Panduri" は奏法が7つあるが、"Contrabass Panduri" はキースイッチ無し。
強く弾いた時に「ジャリ」といったようなノイズがあるが、これは楽器特有の "味" と思ってよさそう。
Georgian Duduk(グルジア・ドゥドゥク)
グルジア(ジョージア)のダブルリードの管楽器。
収録内容・音の印象【Georgian Duduk(グルジア・ドゥドゥク)】
奏法がSutainとVibratoしかなく、これなら他の音源の方がもっと充実してるのがあるかなと。
True Legatoのパッチが独立していてキースイッチでは切り替えられないのが残念。
Salamuri(サラムリ)
グルジア(ジョージア)の縦笛。
音域が高く、速くて細かいフレーズが得意。
収録内容・音の印象【Salamuri(サラムリ)】
音が良くて奏法も5つあるので結構リアルに打ち込めそう。
Weltmelster Accordion(ヴェルトマイスター・アコーディオン)
鍵盤タイプのアコーディオン。
他のアコーディオンとの違いはよく分からず。
ただ、海外のサイトがたくさんヒットするし販売サイトも出てくるので、ちゃんと調べればわかるかも?
インド
増えたパッチ(インド)
- Dhol(ドール)
- Shahi Baaja(シャヒ・バハ)
Dhol(ドール)
地域ごとに多少異なるが、インド周辺で広く使用されている。
肩から提げて両手で叩く双頭ドラム。
収録内容・音の印象【Dhol(ドール)】
Basic と Large の2種類ある。
各奏法が鍵盤ごとにアサインされているが、どのキーにどういった奏法がアサインされているかは聞いて判断するしかなさそう。
Shahi Baaja(シャヒ・バハ)
右手で弦を弾きながら、左手でタイプライターキー(ボタン)を押して演奏する。
インドのジターの一種です。
収録内容・音の印象【Shahi Baaja(シャヒ・バハ)】
初めて知った楽器で未だ構造を理解できてないので、どのくらい再現できるか判断出来ないです。
音自体は良さそう。
大正琴みたいですね。大正琴はインドで人気だそうな・・・。
いやー、インドの楽器はどれも難しい!
中東
増えたパッチ(中東)
- Electric Saz(エレクトリック・サズ)
- Saz 2(サズ)
- Kemence(ケメンチェ)
- Kloo Mandolin(クローマンドリン)
- Oriental Ensemble(オリエンタル・アンサンブル)
- Pku(?)
- Qanun(カーヌーン)
- Tar(タール)
- Trukish Percussions(トルキッシュ・パーカッションズ)
Electric Saz / Saz(サズ)
イラン・トルコなどで使用されるリュート属の撥弦楽器。
収録内容・音の印象【Electric Saz / Saz(サズ)】
Electric Saz / Saz 1 / Saz 2 で音色が全く違う。
"Electric Saz" のキースイッチは、奏法ではなくエフェクターの違い(歪とかコーラスとか)。
"Saz 1" が一般的なSazの音な気がします。
"Saz 2" は "Saz 1" に比べて整ったまろやかな音です。複弦らしい感じはやはり "Saz 1" の方だと思います。でもまぁ好みかな。
Kemence(ケメンチェ)
トルコの擦弦楽器。
民俗舞踊の伴奏に使われる。
収録内容・音の印象【Kemence(ケメンチェ)】
奏法はSustainとTremoloがあるのだが、両者でアタック感がだいぶ違っているためリアルに打ち込むのは難しそうです。
割と速くて細かいフレーズを演奏したりもするが、そうなると少しSustainの方のアタック感が弱いかなといった印象。
とはいえ、他の音源ではあまり見ないマニアックな楽器である。
Qanun(カーヌーン)
アラブ音楽で使われる撥弦楽器。
台形の木の箱に多数の弦が張られている。
チター属の祖先と言われている。
速弾き、エグいなw
収録内容・音の印象【Qanun(カーヌーン)】
奏法が3種類で、SustainとGlissandoが2種類。
Sustainに比べてGlissandoの音量が小さいので、別トラックにしてボリューム調整するのが得策かなと。
動画の様に指ではじいた音と、付け爪?ではじいた音が別で収録されているわけでもないので、トラック別けてEQとかで加工するしかなさそう。
欧米
増えたパッチ(欧米)
- Alphorn(アルプホルン)
- Cabinet Organ(キャビネット・オルガン)
- Cavaco(カバコ)
- Dulcimer(ダルシマー)
- Folk Recorders(フォーク・リコーダー)
- German Accordion(ゲルマン・アコーディオン)
- German Psalter(ゲルマン・ソルター)
- Gothenburg Organ(ヨーテボリ・オルガン)
- Portuguese Fado Guitar(ポーチュギーズ・ファド・ギター)
- Recorders(リコーダー)
- Triple String Zither(トリプル・ストリング・ツィター)
- Viola Da Gamba(ヴィオラ・ダ・ガンバ)
Alphorn(アルプホルン)
スイスの山地で使われている金管楽器。
2、3メートル以上あるような長い管を持つ。
吹き方だけで音階を出す。
収録内容・音の印象【Alphorn(アルプホルン)】
キレイに音を出すのが難しい楽器なのだが、収録されている音はキレイな音である。
Cavaco(カバコ)
恐らくカヴァキーニョというブラジルの弦楽器の祖先だと思われる。
元はポルトガルの楽器かな?
ウクレレも同じ系列。
弾き方・構え方はウクレレと同じ感じ。
収録内容・音の印象【Cavaco(カバコ)】
単音で収録されているパッチとコード演奏用のパッチがある。
単音用のパッチはキースイッチが無く、打ち込みは工夫が必要。
対してコード演奏用のパッチ "Rhythm" はすごく良い!
左手で和音、右手でリズムパターン(5パターン)を指定する感じで簡単にリアルな伴奏が打ち込める。
Susutainよりもこっちに力を入れて収録した感がある。
欲を言えばもっとリズムパターンの種類が欲しかった。
Dulcimer(ダルシマー)
ツィター属の打弦楽器で「ピアノの先祖」と呼ばれる。
音を聴く限り、収録されているのは恐らくハンマー・ダルシマーだと思ったのだが、表示されるイラストはハンマー・ダルシマーとは違う気がする。
収録内容・音の印象【Dulcimer(ダルシマー)】
"Arpeggio" というエフェクティブなフレーズも多数収録されている。
音はこんな感じ。
German Psalter(ゲルマン・ソルター)
Psaltery(プサルテリー)という楽器だと思われます。パッチ名に「y」が無いから調べるのに苦労しましたw
弓で弾くヨーロッパの擦弦楽器。
音程の違う弦に弓を当てて弾く。バイオリンの様に左手で抑えたりはしない。
ピッチカートもある。
収録内容・音の印象【German Psalter(ゲルマン・ソルター)】
"Long" "Short" "Pizzicato" が収録されている。
ただ、Shortに関してはMIDIノートをしっかり伸ばさないと音が途中で切れた感じになってしまい、余韻が再生されないのが勿体ない。
これもまた他の音源ではあまり見ない楽器なので選択肢にあるのは有難いですね。
Viola Da Gamba(ヴィオラ・ダ・ガンバ)
16世紀から18世紀に使用された擦弦楽器。
民族楽器というより古楽器。
ヴァイオリン属に外観が似ているのでヴァイオリン属の原型と誤解されがちだが、系統は異なるらしい。
弾き方はチェロと同じ。
収録内容・音の印象【Viola Da Gamba(ヴィオラ・ダ・ガンバ)】
奏法が18種類と充実している。
かすれた感じや低域に若干ノイズが混じってる音があるのがやや気になるかもしれないが、使ってみればそれがまた味となるのかも?
南米
増えたパッチ(南米)
- Bajo Quinto(バホ・クイント)
- Charango(チャランゴ)
- Guitarron(ギタロン)
- Keyboard Recorder(キーボード・リコーダー)
- Mexican Vihuela(メキシカン・ビウエラ)
- Peru Flute(ペルー・フルート)
- Ronroco(ロンロコ)
- UBass(ウクレレベース)
Bajo Quinto(バホ・クイント)
10弦(5コース)の撥弦楽器。
ギターの仲間。見た目はギターとほぼ同じ。
チューニング:A2-A1、D3-D2、G2-G2、C3-C3、F3-F3
収録内容・音の印象【Bajo Quinto(バホ・クイント)】
コードのパッチもあるが1ストローク鳴らしただけなので、手軽に伴奏とまではいかなそうである。
音は悪いわけではないが、やや生々しさに欠けるかなといった感じ。
Charango(チャランゴ)/ Ronroco(ロンロコ)
南米アンデス地方周辺の撥弦楽器。
16世紀にスペイン人が持ち込んだギターの前身であるビウエラ・デ・マノが発展したもの。
チャランゴとロンロコは同族で、ロンロコの方が大きい。
どちらも5コース10弦。
収録内容・音の印象【Charango(チャランゴ)/ Ronroco(ロンロコ)】
奏法は Sustain と Chords がある。
Chord の方は和音が鳴る。ボイシングを考えずに手軽にコードが鳴らせる。
音はとても良い。リアルな質感が出てると感じる。EQで調整すればもっと良く鳴りそう。
Guitarron(ギタロン)
「ギタロン」はスペイン語で「大きいギター」を意味する。
メキシコ音楽で使用され、ベースを担当する。
フレットはない。
収録内容・音の印象【Guitarron(ギタロン)】
強弱があまり感じられず、ベロシティーレイヤーが少ないという印象。
ベースなのでソロでもない限りは問題はない。
これもまた、他の音源では見ないレアな楽器である。
Mexican Vihuela(メキシカン・ビウエラ)
マリアッチというメキシコ音楽で使用される小型のギター。
「ビウエラ」にもいくつか種類があり、単に「ビウエラ」というと「ビウエラ・デ・マーノ」の事を指す。
「メキシカン・ビウエラ」は「ビウエラ・デ・マーノ」とは別物。
ウクレレのような大きさでジプシー音楽のような掻き鳴らす演奏をする。
収録内容・音の印象【Mexican Vihuela(メキシカン・ビウエラ)】
コードを1ストロークした音も収録されているが、ストロークのスピードがコード毎にバラバラで調整も出来ないので、動画のような掻き鳴らすような奏法を再現するのは難しいでしょう。
また、単音での奏法はSustainしかないので工夫が必要になるでしょう。
音はやや生々しさに欠ける。
Peru Flute(ペルー・フルート)
詳細不明。
表示されるイラストから縦笛であると思われる。
縦笛には「Quena(ケーナ)」や「Peru bamboo flute(ペルー・バンブー・フルート)」というのも存在するが、よく見るとイラストとは形状が異なるためこちらも別物かもしれない。
収録内容・音の印象【Peru Flute(ペルー・フルート)】
奏法はSustain, Vibrato, Staccatoの3種類。
音はとても良い。
「ペルー・バンブー・フルート」「ケーナ」は収録されていないが、「ペルー・フルート」の音自体は「ペルー・バンブー・フルート」「ケーナ」に非常に近しい音だと思うので、代用するのも良いだろう。
カリブ
増えたパッチ(オーストラリア)
- Garrahand(ガラハンド)
- Handpan(ハンドパン)
- Opsilon(?)
- Steel Pan(スティールパン)
- Ukulele(ウクレレ)
Garrahand(ガラハンド)
アルゼンチンの旋律打楽器。
亀の甲羅のような形状。
叩く位置によって音程が違い、一つ一つに音階を設定できる。
ケーブルがつながってるので電子楽器だと思われるが、昔は違ったのかどうかは不明。
収録内容・音の印象【Garrahand(ガラハンド)】
さすがに手で叩いた音までは収録されておらず。
ライン録りした音が収録されていると思われる。
Steel Pan(スティールパン)
ドラム缶の底を窪ませて作られた旋律打楽器。
バチ(マレット)で叩いて演奏する。
収録内容・音の印象【Steel Pan(スティールパン)】
Steel Drum(スティールドラム)は前バージョンから収録されているが、スティールパンはそれよりも1オクターブ以上広い音域で収録されている。
スティールパンの方が荒々しい音がする。こっちの方が好みである。
スティールドラムとスティールパンの違いは何なんだろう?
Handpan(ハンドパン)
ドラム缶をドーム状に加工して作られた旋律打楽器。
スティールパンを素手で叩く用にドーム状にしたのがハンドパン。
収録内容・音の印象【Handpan(ハンドパン)】
音はとても良い。
パッチに"Ayasa" "Bell1" "Bell2" "BPSH" がある。Ayasaはメーカー名「Ayasa Instruments」だと思われるが、他は不明。
新規追加パッチがない地域
- アフリカ
- ケルティック
- インドネシア
- スパニッシュ ジプシー
新収録のループとフレーズ
新規追加の収録楽器の量に対し、フレーズ集に追加された楽器の種類はそんなに多くはないですね。
その辺は公式サイトをご覧ください。
音源として追加された楽器の中で、リアルな打ち込みが難しそうな楽器でもループ素材を使えばイケるって物も多いでしょう。
あとは、過去の記事も併せてチェックして頂ければと思います。
全体的な感想
質の向上は二胡くらいで、新たな楽器追加がメインですね。
笛系はどれも良い。
ただTrue Legatoのパッチが独立してしまっている点についたは、奏法別でトラックを分けたりしない派の人にとっては残念なポイントですね。
何でキースイッチでの切り替えにしなかったんだろう?
打楽器系も、どれも使えそうなクオリティーといった印象。
撥弦楽器は全体的に奏法が少なく、Sustainとコード演奏だけというのが多い。
コードもジャーンとならした音が収録されているだけだったりするので、コードをかき鳴らすような演奏の再現は難しい。
でも、どの総合音源でもクオリティーが高い弦楽器ってのはなかなか無いので高望みは良くないですね。
個人的には、Cavaco(カバコ)が気になってます。
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