
前置き
先日、自作の楽曲のミックスを行っていた時の話です。
作業中にノイズが混じってることに気づきました。
原因を探ってみたところ、思わぬところでノイズが発生しておりました。
原因は?
ノイズの原因はH-Delayでした。

H-DelayとはWAVES社のエフェクターで
綺麗なデジタル・サウンドから暖かみのあるアナログ・サウンドまで
幅広くカバーできるHybridシリーズのDelayになります。
Hybridシリーズには、Delayの他にCompressorがあり、
WAVESのバンドルシリーズの中でも比較的お買い求めやすい
GOLDやPlatinumにも入っておりますので、持ってる方も多いかと思います。
自分はあまり使用しないのですが、
たまには使ってみるかとインサートしてみました。
H-Delayのノイズは極々小音量であり、
楽曲再生中であれば楽器の音にかき消されてしまうようなレベルであったため
気づくのが遅れてしまいました。
しかもスピーカーからの音では環境音と混じってしまい気づきにくく、
イヤホンで聴いて初めて気づくようなレベルだったため
音圧を上げるまで気づきませんでした。
そして、最終的に音圧を上げる工程でノイズの音量が上がったことで
ようやく無音部分にノイズが乗ってることに気づいたのでした。
ノイズの測定
試しに空のオーディオトラックだけの、再生しても何も音がならない状態を用意しました。
もちろんノイズすらなりません。
そのオーディオトラックにH-Delayをインサートしてみました。
するとノイズが発生しました。
色々パラメーターをいじってみたところ、
キャラクターモードの「Analog」というつまみを調整すると
ノイズの音量が変化することがわかりました。
右下にあります。

そこでノイズの音量をメモしてみました。
RMS最大:-∞ (dB)
最大ピーク:-∞ (dB)
RMS最大:-160.0 (dB)
最大ピーク:-132.6 (dB)
RMS最大:-110.5 (dB)
最大ピーク:-87.2 (dB)
RMS最大:-98.6 (dB)
最大ピーク:-71.4 (dB)
RMS最大:-117.0 (dB)
最大ピーク:-91.6 (dB)
RMS最大:-118.8 (dB)
最大ピーク:-94.0 (dB)
結果、AnalogモードをOFFにしてもノイズは発生してました。
一番音量が大きかったのは、Analogモード 2。
デフォルトで2になってるので要注意ですね。
このキャラクターモードというのは、
アナログ機器をモデリングした機能だと思われますが、
アナログ機器はどうしてもノイズが発生します。
だからこそ良い質感が得られるのだと思いますが、
曲中の静かな部分ではノイズが目立っちゃうようでは問題ありです。
少なくともAnalogモード 2 は避けるべきでしょう。
この結果は、同じHybridシリーズである
H-Compでもほぼ同じ値が検知されました。
ディザリングのノイズ量は?
因みに、オーディオのビットレートを変換する時に
わざとノイズを載せたりするディザリングという技法があります。
音声だけではなく動画でも使われますね。
このディザリングによるノイズ量はどのくらいなのか、
参考のためにメモを残しておきます。
output bit = 16bit, dither level = low, auto black = OFF
RMS最大:-105.3 (dB)
最大ピーク:-84.3 (dB)

他の機器は?
Hybridシリーズ以外のアナログ機器をモデリングしたエフェクターでは
どうでしょうか?
WAVESの他のエフェクターは?
WAVESのVCompで試してみました。
VCompにもAnalogモードがあります。

結果、Hybridシリーズとは多少異なる点もありましたが、
ノイズは発生しました。
異なる点は以下の2点。
同じく
WAVESのVEQはAnalogモードをONにしてもノイズは出ませんでした。
IK Multimediaは?
ヴィンテージ系のコンプレッサーとEQも試してみましたが、
いずれもノイズは発生しませんでした。
おそらく音が鳴って初めてアナログ感がかかり
無音では反応しないような作りになってるのかもしれませんね。
ただし、Tape Echoは
Volume AとBのつまみのどちらかを少しでも上げると
ノイズが発生しました。

まとめ
静かな曲調の時はHybridシリーズの使用は避けた方が良いかもしれません。
また、アナログ機器系はノイズが付き物であることを肝に銘じておきましょう!
機器の進歩によりノイズが少ないことが当たり前になりつつある今、
よりノイズにシビアになる必要がありそうです。