カンフー的な曲を作る機会があり、UVI World Suiteを購入してみました。
ということで、まずは全体的な使い勝手からレビューしたいと思います。
各地域毎の楽器については、またの機会にお届けしたいと考えておりますので。
とは言っても、公式の動画で全体像は把握できます。
なので重箱を突くような細かい話を辛辣な意見も含め、お届けできればと思います。
メイン画面
見た目は、各地域の写真と地図の絵をバックにしているのがイカしてますね。
ただし、この画を見て分かる通りShakuhachi(尺八)を選択してもEr Hu(二胡)を選択してもバックの画像は同じです。日本も中国も同じアジアという括りになってます。
まぁ全世界の民族楽器を集めてるのだから、大きくアジアの括りでまとまってるのはしょうがないですかね。
音色選び
ブラウザで最初に選択するのは以下の5つからになります。
- By Region:地域から音色を選択
- By Type:楽器のタイプから音色を選択
- Loops and Phrase:ループ素材集(wav)
- Travelers:選択した地域に応じた6つのループ素材を同時に扱う機能
- Vocals:ループ素材集+ボーカル専用のTravelers機能
エスニック音源ですから知らない楽器が多い。
そのため、使い手からすると以下の2点が分かりやすくないとダメだと思うのです。
- どの地域の楽器なのか
- 打楽器なのか弦楽器なのか、はたまた笛なのか
そういった点で見ると、ざっくりですが分けられてるので使い勝手が良いと言えます。
細かく見ていきましょう。
By Region(音色選び)
例えば、地域で「Asia」を選択すると楽器の名称がずらり。
ここにEr Hu(二胡)とShakuhachi(尺八)が同居しております。
日本と中国は分かれてないのかぁ、自分は日本人だからわかるけど、これが中東の楽器を選ぶときに困るだろうなぁと思いました。
でもそれはエゴかも。それに他の音源でも同様の事が言えますしね。
By Type(音色選び)
では、地域ではなく楽器の種類から選択するとどうだろう?
試しに弦楽器を選択すると、今度は地域がこちゃまぜに!
Er Hu(二胡)、Fiddle、Koto等が同居しております。
でも楽器の種類別で分けた上、さらに地域でも分けて欲しいなんてのは要求し過ぎですね。自分は「By Type」はあまり使わないので気になりませんが・・・。
Loops and Phrases(音色選び)
ループ素材集(wav)です。
ここは先ず地域を選ぶスタイルのみですね。
注意すべきポイントは、例えばコンガを選びたいときはカリブ・西インド諸島のカテゴリーにもあるし、南米のカテゴリーにもあることです。
おそらくグルーヴ感で分けられてるのだろうと思いますが、そのあたりを考慮しながら素材を探す必要がありそうです。
もしかしたらWORKSTATIONの仕様であって、Falconでは大丈夫だったりするのかな?自分、Falcon持ってないのでわかりせんが・・・。
Falconでも同様です。
Travelers、Vocals(音色選び)
これらも「By Region」と同様に地域を選択するスタイルがあります。
各機能のレビュー
まずは公式の動画を見て下さい。
概ね機能に関しては説明されてます。
なのでここでは補足レビューを中心にって感じで行きたいと思います。
もうお分かりかとは思いますが、「By Region」「By Type」は楽器の絞り込みを行うためのもので地域から絞り込むか楽器のタイプから絞り込むかの違いしかありません。
対して「Loops and Phrase」「Travelers」「Vocals」は、ループ素材を扱う機能であり、DAWに張り付けて使用することも出来ます。
By Region/By Type(機能レビュー)
まずは普通に音色を読み込んでみましょう。
鍵盤を見ると使える音域が白、キースイッチが赤になってます。
こういった仕様は、他の音源でもよく見るスタイルですね。
選択したキースイッチは右の真ん中辺りに表示されます。
そこをクリックすればキースイッチの一覧が
"ドロップダウン リスト"の形式で表示されます。
パーカッション系は、キースイッチで楽器自体を切り替えるスタイルになってます。
これもよくあるスタイルなので問題ないでしょう。
ベロシティーについて
僕が感じた一番の欠点はベロシティレイヤーです。
簡単に言うとP~fffまで収録されてるって感じでしょうか?
ベロシティーを”1”で鳴らすとP位の強さで鳴り、PP以下が無い感じです。
ベロシティカーブを変えられるので良いのですが、毎回ベロシティーカーブをいじらなきゃならないのはちょっと面倒かなと。
パーカッション系のゴーストノートとかの再現の時に困りますからね。
参考にベロシティー"1"~"127"まで+4刻みで鳴らすとどうなるか・・・
サンプル音源をアップしましたので聴いて見て下さい。
前半がデフォルトの設定、後半がベロシティーカーブを調整したサンプルとなっております。
音は「長胴太鼓」です。
上手いこと調整すれば何とかなりそうではありますね。
面倒ではありますが・・・。
Loops and Phrase(機能レビュー)
これはループ素材(wav)を選択してエディットする、サンプラーって感じです。
鍵盤は、弾く高さに応じてテンポを維持したまま発音するピッチが変わります。
一般的なサンプラーと同等といった感じです。
UVI Workstation内でエディットできますし、DAWへドラッグすれば張り付けたりも出来ます。
これは素晴らしいです!!!
Travelers(機能レビュー)
最大6種類の楽器を同時に鳴らせる機能です。
鍵盤で1音弾けばループが再生されます。
任意の楽器をOFFにすることも出来ます。
各カテゴリー毎で音色やリズムパターンを切り替えることも出来ます。
上部にあるサイコロマークを押せば、ループ素材がランダムに切り換わります。
ランダムとは言っても選択した地域から外れた物が選ばれることはないようです。
例えば「Latin Perc」を選択した状態でサイコロマークを押しても和太鼓が選択されることはない、等。
これで各地域特有のリズムだったり奏法だったりが楽しめます。
実はこの機能こそが、この音源を買った一番の理由なのです!!!
ただ、ここからDAWへ張り付けることは出来なそうです。
残念・・・。
Vocals(機能レビュー)
「Travelers」のボーカルバージョンです。
低音域ではDroneというのが割り当てられていて、音的には結構いい(怪しい)雰囲気を醸し出してます。
Droneだけ使うってのもアリかもしれませんね。
で、肝心のVoiceの方は、音やフレーズはとても良いです!
ただ、「Travelers」と同様にDAWへ張り付けることは出来なそうなのが残念です。
DAWへ張り付けられるのであれば最高だったのですが・・・。
総評
単発で鳴らした音質は良いです。
表現力に関しては次回以降レビューする予定ですが、ベロシティーレイヤーに関しては良くないというか面倒くさいです。
まぁその辺りはエディットできるので良いでしょう。
カテゴライズが大雑把なのがいかんともしがたい点ですが、他の音源でも同じような感じですし、BEST SERVICEの「ETHNO WORLD 6」に至っては地域ごとに分かれてないですから、そう考えると寧ろありがたいとも言えます。
どっちにしろ民族楽器を使う際は楽器の特性とか調べてから使うだろうから、あまり気にならない方もいるでしょう。それでも国までは細分化されてると調べる効率が上がると思うので、個人的にはもう少し細分化されると嬉しいかな。
まぁ広い地域で使われてるような楽器だと「どっちの地域に分類すればいいんだ!?」ってなるから難しいか。