1998年に発売されたACIDが2018年に9年ぶりのバージョンアップをしました。
そんなACID Pro8を入手したのでレビューしたいと思います。
ざっくりとACIDについて
「ACIDized(アシッダイズ)」されたWavファイルを並べて作曲する「ループシーケンサー」と呼ばれる方式を最初に創り出したソフトです。
アシッダイズとは簡単に言うとテンポやキーの調整がフレキシブルに可能なフォーマットの事ですね。
最近ではアシッダイズされてないオーディオ・ファイルでもテンポやキーの調整は可能だと思いますが、アシッダイズされたファイルでのメリットはテンポチェンジで音質が劣化することは(過度なエディットをしなければ)ほぼ無い所です。
そんなループ素材が9GBも収録。
もちろんMIDIの打ち込みにも対応しており、16種類のソフト音源も付属。
エフェクターも3種類のプラグインが収録。
残念なのはWindowsのみ対応な点。Mac非対応です。
<余談>
ACID開発者がAppleに引き抜かれてガレージバンドを作ったらしい。
因みにガレージバンドで主に使われるループ素材のフォーマットは、ACIDized(アシッダイズ)ではなくApple Loop(アップルループ)。
【ACID Pro8】レビュー
初回起動時にサンプルの曲が読み込まれたのでチェックがてら聴いてみた。サンプル素材並べただけで出来てますね。
で、これがまたカッコイイ! 期待が膨らみます!!!
という訳で、細かい点を見ていきましょう。
動作スピード
最近のDAWのように何でも出来ちゃうようなソフトではなく、割とシンプルなソフトなのでその分動作が軽いらしい!
という訳で、以下のスペック低めのPCで使ってみました。
- CPU:Intel Corei3
- メモリ:4GB
これは確かに軽い!
なんと3秒程度で起動しました。
読み込ませるサードパーティーのプラグインの数にもよって変わるとは思いますが、デフォルトでこの速さは優秀です!
再生させながらのループ素材追加もスムーズ!
トラック追加やプラグイン挿入もスムーズですし、特に落ちる気配もない。
非常に優秀な軽さだと思います!
もちろん付属のループ素材以外でも、アシッダイズされてなくても使えます。
見た目(ミュート/ソロ)
全体的に暗めな色合いで、一応調整は出来るようですが劇的な変化は無理っぽいです。
各ボタンの配置は変えられます。なので慣れてしまえば問題ないでしょう。
ただ、全体的に視認性はあまり良くないかなと感じます。
特にミュートとソロが見にくいですね。
次のような構成で画像にしました。
- フォルダー
- オーディオ1(ソロ)
- オーディオ2(ミュート)
- MIDI
ミュートやソロボタンを押すと少しだけボタンの周りの色が濃くなって、再生されるトラック以外は全体的に若干暗くなるのですが、全然主張が足りない!メイン画面もミキサー画面も同様です。
ミキサー画面の左側にトラック一覧があって、そこにソロにした場合のみ「S」の表示が出ますが、ミュートは表示されない。何だか中途半端です。
見た目(リサイズ)
また、ミキサーの左側に「すべて表示」とか「オーディオ トラック」とかありますが、ミキサーの縦サイズが小さいとインサートやセンド、メーター等といった項目が隠れてしまってます。スクロールも出来なそうです。
これをクリックしないとミキサー画面でのインサートFx挿入やセンド量の調整は出来ないようですが、隠れていてはクリックすらできません。最初はかなり悩みました。
ミキサーは切り離して別ウィンドウにするのが得策かと思います。
縦長にするとフェーダーがやたらと長くなってしまってかっこ悪いですが、調整可能ですので^^
ReWire
仕様をみるとReWireが使えるようなのですが、ReWireマスターでの起動しか出来ないようです。例えばCubaseをReWireマスター、ACIDをReWireスレーブとして使うことは出来ない。
PropellerheadのReasonかAbleton LiveであればReWireスレーブとして起動できるので、ACIDと連携できますね。
ReWireってあまり使ってる人見たことないんだけど・・・。
オーディオ・ファイル周りの使用感
フェードイン・アウト、ピッチやテンポ変更等といった一通りの処理は可能です。他のDAWと遜色ないと思いました。
付属してるものではないオーディオファイルも読み込み時にテンポを指定してしまえば、プロジェクト自体のテンポを変更しても追従してくれてリミックス等に最適です。
これは便利!!!
また付属のオーディオ素材ですが、使えるものばかりです!
ただ、注意点もあります。
初回起動時に読み込まれた曲のオーディオ素材をソロで聴いてみたところ、気になることがありました。
やはり生演奏のループ素材ですのでリズムのよれだったり、少し早めのタイミングからストロークしていることもあって、別素材に切り替わるタイミングで不自然な音が混入してしまってます。
物によってはクロスフェードしないと別素材に切り替わるタイミングでクリックノイズが発生したりもするので、ただ単に並べるだけではダメそうですね。
とはいえ、これはオーディオ素材全般に言えることですが・・・。
MIDI打ち込みの使用感
普段Cubaseを使っているせいか、正直ものすごく使いづらいです。
そもそもこのツールの始まりはループシーケンサーであるということから考えて、MIDI打ち込みはまだまだおまけ程度の機能にとどまっているなといった感じです。
軽くいじっただけなので使いこなすうちに解決することもあるかもしれませんが、使いづらい点を2つ挙げてみました。
- MIDIエディット画面で再生しても曲自体が再生されるわけではなく、MIDIエディット画面内のみが再生される。
- 曲自体を再生してもMIDIエディット画面とはリンクしないので、エディット画面上ではスクロールしない。
これらはおそらく考え方の問題ではないかと思われます。
MIDIであろうがオーディオであろうが素材として扱っていて、MIDIエディット画面ではどういう素材にするかを作りこんで、素材を並べるTimeline上では素材をどう並べるかを考える・・・というように別々に考えているのかなと。
Cubaseが使い慣れてる身からしたらかえって把握しづらいと感じます。ACIDから他へ乗り換えるとなると苦労しそう・・・。
ユニークな点としてはリスト エディタがあるところですね。
ピアノロールのような画面ではなく数値入力で打ち込みをしていく機能です。
打ち込み黎明期の頃の方式ですが、今は使ってる人の方が少ないでしょう。
昔から打ち込みをしてる人の中にはリスト エディタの方が慣れてるって人もいるようですが・・・。
因みにこのリスト エディタですが、ACID Pro8意外だとABILITYシリーズに搭載されているようです(ABILITYではステップエディタという名称)。
付属のプラグインについて
使用頻度の高そうな音色は押さえてます。オルガンもドローバーとチャーチオルガンとがあったり、ドラムもロック・ポップス・ジャズ・ヒップホップ系等、そしてサンプラーもあります。これだけあれば必要十分でしょう。
個人的にはドローバーオルガンが、ちゃんとドローバーを調整できるのがうれしい点ですね。オルガン結構使うので。
クオリティに関しては、サードパーティー製品と比べてしまうとやはり見劣りしてしまいますが、それはどのDAWの付属品も同様でしょう。
ただ、それでも気になるのはシンセ系です。どれもオシレーターが見当たらない。プリセットをちょっと調整する程度しかできず、一から音作り出来るようなシンセは付属してなさそうです。
因みに、付属音源はACID Pro8でしか使えないようです。
ミキサー周りの使用感
VUメーターが付いてるのはうれしいですね。
インサートやセンドの高さを自由に調整できるのもうれしいポイントです。
Cubaseにはない機能なので。
その他の視認性は前述の通りです。
動画・画像も読み込めるが、書き出しは不可
動画や画像ファイルの読み込みにも対応しており、動画に合わせた音楽の制作が行えます。
ただし動画の書き出しには対応してないようですので、そこは残念なところ。
まとめ
MIDI打ち込み以外は普通に使えるDAWだと思いました。
オーディオ素材ベースでの曲作りには適しているのと、リミックスに重宝しそうなツールですね。
ただ注意点もあります。
「楽譜の知識がなくても、パソコンで誰でも簡単に作曲できるようにした伝説の作曲ソフト」という謳い文句があり、確かにループ素材を並べるだけで出来るので理屈的には誰でも簡単に作曲が出来るのですが、音のぶつかりやこもって聴こえる音などをどうやって処理・ミックスすれば良いかなど、ちゃんとした曲に仕上げるには最低限の知識は必要です。
当然ですが・・・。
そういった細かい点は置いといて簡単に曲を作りたいって人には、センスの赴くままに作れるので良いかもしれませんね。
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