はじめに


まず地理的なお話ですが、
中東とはアラビア半島と周辺とアフリカ北東部を指します。

音楽はこんな感じ。

収録楽器(通常のパッチ)


弦楽器
Baglamas バグラマ
Bouzouki ブズーキ
Electric Bouzouki エレキ・ブズーキ
Lute リュート
Maghreb Violin マグリブ・ヴァイオリン
Mandolin マンドリン
Oud ウード
Saz サズ(別名:バーラマ)
Trukish Lyra ターキッシュ・リラ
Tzouras ジュラ

管楽器
Duduk ドゥドゥク
Middile East Flutes 中東のフルート

打楽器、打弦楽器
Middle East Santur サントゥール【打弦楽器】
Persian Daf ペルシャ・ダフ【打楽器】
Middle East Percussions 中東の打楽器

収録楽器が多くループ素材もたくさんあるため、サンプル音を掲載する楽器は厳選します。
また、トラベラー機能はサンプル素材が同時に再生できる機能といった感じですので、ここでは割愛します。
悪しからず。


まずは、ルーツについてや知識的なアレコレ


ルーツ

ペルシャの「バルバット」という弦楽器が祖先と云われている。これが西に伝わって「ウード」「リュート」となり、東に伝わって「ピパ」「琵琶」となった。
さらに「ウード」がヨーロッパの方へ伝わり、「リュート」という名前になった。

弦楽器の始まりとされる「バルバット」はギターの祖先でもあるようだ。

「サズ」は別名「バーラマ」とも言う。
また「サズ」は「バーラマ」や「ブズク」等の総称を指す言葉でもあり、サイズによって名前が異なる。「ジュラ(小型)」「バーラマ(中型)」「ブズク(大型、ボズクとも言う)」など。
「バーラマ」「ブズク」がギリシャに伝わり「バグラマ」「ブズーキ」となった。
図にするとこんな感じかな?


古代ペルシャの「サントゥール」は、打弦楽器のルーツと云われている。
また、ピアノも弦を叩いて音を出す仕組みであり、ピアノのルーツとも云われる。


その他の知識

同じ音程の弦を2本張り、まとめて弾く。このユニゾン数に応じて何コースと呼ぶ。

中東の音楽では微分音と呼ばれる半音より狭い音程が用いられる。


弦楽器


Baglamas バグラマ



ギリシャの楽器。
標準のチューニングはD,A,Dの「3コース6弦楽器」。
主にメロディを奏でる。
サイズはウクレレくらいの長さでボディーはウクレレより小さい。
スチール弦が張られていて、金属的な甲高い音が特徴。

ループ素材


打ち込み


打ち込みでも割といい感じに仕上がりそうです。
あとはピッチの不安定な感じを再現させてやれば・・・そこが難しいのですが^^;


Bouzouki ブズーキ/Electric Bouzouki エレキ・ブズーキ

ギリシャバルカン半島周辺で使用されている楽器。
アイルランド音楽でも使用される。
最初は「3コース6弦楽器」だったが、現在の主流は「4コース8弦楽器」。
ピックで演奏。
マンドリンに似ている。

ループ素材


打ち込み(後半がエレキ・ブズーキ)


打ち込みだと音がキレイ過ぎて、弦をはじいた時の揺らぎやノイズといった部分は再現できなそうですね。


Lute リュート

主に中世からバロック期にかけてヨーロッパで用いられた古楽器群の総称。
基本的には6コース、8コースの2種類
複弦楽器(1つのコースに複数の弦を持つ)だが、1コースだけは単弦になる。
調弦は、ルネサンス調弦、テオルボの調弦、バロック調弦などがあるが、17世紀中ごろからバロック調弦が最も一般的となった。

16世紀頃にはソプラノやアルトなど大小さまざまなリュートが作られたが、テナーリュートが一般的だった。
17世紀頃には11コース、13コースなどのリュートも使用された。この頃のフランスのバロック音楽ではそれまで以上に不協和音が複雑化したことが背景にある。

打ち込み

前半がJubus→後半がTunisian。キースイッチで切り替える。


Maghreb Violin マグリブ・ヴァイオリン



詳細不明。
「マグリブ」とは、エジプトよりも西の北アフリカ地中海岸の一帯を指す。

ループ素材には「マグリブ・ヴァイオリン」はなく「オリエンタル・ヴァイオリン」があり、おそらく同じ物じゃないかなと思われます。

ループ素材(オリエンタル・ヴァイオリン)


打ち込み(マグリブ・ヴァイオリン)


音は普通にヴァイオリンですね。ヴァイオリンのように打ち込んでるからか?

<余談>
ヴァイオリンはもともとアラブの楽器ラバーブに代わって用いられるようになった。
とはいえ「ラバーブ」自体は現代のヴァイオリンとはかなり異なる形状をしており、調弦や奏法も西洋音楽とは違う独特な物である。

ちなみにUVI World Suiteにラバーブはないようです。


Mandolin マンドリン

4コース8弦(ナポリ式)が一般的。
6コース12弦(ミラノ式)もあるが、19世紀末頃に廃れていった。

チューニングは、1弦(高い方)からE-A-D-G(ヴァイオリンと同じ)。

プレクトラム(ピック)で演奏される。
トレモロ奏法が特徴的。

打ち込み


マンドリンはループ素材はありません。


Oud ウード

リュートに似た形状だが、ウードにはフレットがない。
微分音も演奏可能。

6コース11弦で、最低音の弦のみ単弦とするのが一般的。

地域別に様々な種類があり、チューニングも異なる。
アラブ・ウード、トルコ・ウード、ペルシャ・ウード・・・等々。

ループ素材


打ち込み



Saz サズ(別名:バーラマ)



イラン・トルコなどで使われている楽器。

前述の通り「サズ」とはトルコ系の弦楽器の総称の場合もある。
だが、UVI World Suiteではイラストを見る限りバーラマのことのようだ。

フレットがまばらに配置されており、地域独特の音律に合わせた配置となっている。
このフレットはガットやナイロンでできた物が巻かれており、可動式となっている。
微分音も演奏可能。

ループ素材


打ち込み



Trukish Lyra ターキッシュ・リラ



「ターキッシュ」はトルコ(風)という意味。
「リラ」はいわゆる竪琴(リュラー、ライアーとも言う)であるが、古くは弦楽器全般を指す言葉であるようです。
イラストを見ても形状が竪琴ではないですし、弓で弾く楽器であることからも竪琴ではないとわかります。
弓で弾く楽器にKamanche(カマンチェ)というのがありますが、それとは形状が異なります。

イラストから調べた結果、ギリシャ・クレタ島のCretan lyra(クレタン・リラ)ではないかと思われます。クレタ島はギリシャからもトルコからも近いですし。

Cretan lyra(クレタン・リラ)は、ヴァイオリン等と違い指の腹ではなく爪を弦にあてて音程をコントロールする。
弦が3本。

ループ素材


打ち込み


ループ素材の方は複数人での演奏なのか?


Tzouras ジュラ

ギリシャの楽器。
3コース6弦楽器。
チューニングは低音からD3,D4 - A3,A3 - D4,D4、またはD4,D3 - A3,A3 - D4,D4。


管楽器


Duduk ドゥドゥク

アルメニアやグルジアあたりの木管楽器。
ダブルリード。
音域はF#3 ~ A4。

日本の篳篥や中国の管子の先祖にあたる管楽器。

別名バラバン。
アゼルバイジャンではバーラーバーン(Balaban) と呼ばれている。

ループ素材


打ち込み


打ち込みでリアルな質感を出すのは難しそう・・・。


Middile East Flutes 中東のフルート

イラストを見る限り、横笛ですね。

詳細不明です!

中東の管楽器といえばDuduk(ドゥドゥク)とNay(ネイ)ですが、どちらも縦笛です。
インドのBansuri(バンスリ)にも似てますが、インド楽器の中に「Indian Flutes」というのがあり、おそらくそれがバンスリだと思われますのでバンスリでもない。

打ち込み


ループ素材もないのでどうやって使うのが正解かも不明です!


打楽器/打弦楽器


Middle East Santur サントゥール【打弦楽器】

4本の複弦をメズラブ(mezrab)と呼ばれる細いスティックで叩いて演奏する。
世界中の打弦楽器のルーツ。

質感は良い感じ。これなら打ち込み感が少ないリアルな表現ができそう。
ループ素材はありません。

<余談>
インドにもサントゥールはあるが、少し形状が異なり、複弦も3本となっている。


Persian Daf ペルシャ・ダフ【打楽器】

大きな打面には、通常は魚の革が張られており、周りには多数のリングがついている。
叩く以外にも振ったり擦ったりして演奏する。

サイズが大きいので広がりのある低音が出る。
さらに周りのリングが派手な高音が合わさってユニークな音になる。

中には周りに小さいシンバルがついてるものもあり、大きなタンバリンのようになっている物もある。

打ち込み


ループ素材はありません。


Middle East Percussions 中東の打楽器

以下の楽器をキースイッチで切り替える仕様となっております。

Bendir ベンディール
中近東の伝統的なフレームドラム。
世界最古の太鼓と云われている。
ペルシャ・ダフと同様に叩く/振る/擦る、等で演奏する。


Daires(ダーイラ)
タンバリンのような中型フレームドラム。
似たような楽器に「Riq(リク)」というのがありますが、ダイーラの方が大きい。


Darbuka(ダルブッカ)
アラブ諸国、イラン等で使用されている太鼓。
座って左太ももに載せ、両手でたたく。

エジプトスタイルとモダンスタイルの2つの流れがある。

【エジプトスタイル】
伝統的なスタイル。
ベリーダンスの伴奏として発展してきたため、踊りやすいように、簡潔で力強いフレーズが多いのが特徴。

【モダンスタイル】
ムスルル・アフメットが1987年に創始したスタイル。
音の組み合わせが自由自在にできるように、個々の音の出し方が様々な点でエジプシャンスタイルとは異なっている。

ベリーダンスについては別の機会にでも書こうかな・・・。

<余談>
胴体が金属の物や陶器の物があり、陶器だと倒れたら割れる。


Oriental Tambourin
中近東で用いられるタンバリンは、上記で登場した物以外だと「Riq(リク)」というのがあります。たぶんどちらかです。

リク:https://www.youtube.com/watch?v=5bHo2YKDWZ0


Sistres(シストラム、又はシストルム)
小さな半楕円形の金属の枠に小さなシンバルが複数ついて、それに取っ手が付いた構造になっている。
主に女性用の楽器で、儀式の際に女性神官や王妃などが使用するらしい。

https://store.shopping.yahoo.co.jp/suibi-do/1157.html


ループ素材についての補足


「Clarinet」や「Hajir ハジール」「Synth Arabic」といった通常のパッチに無い物も収録されてます。
「Hajir ハジール」はパーカッションです。アフリカっぽい感じでした。「Clarinet」ってなんだろ?

「Drums」「Fills」は普通に現代のポップスで使われるドラムのようです。リズムが中東っぽいのか?

ジュラとサズの合奏などもあります。使い道は限定されますが、豊富ではあります。


収録されてない代表的な楽器


Nay(ネイ):アラブ音楽で使われる葦の笛。やや斜めにして吹く。
Kamanche(カマンチェ):ペルシャの弓で弾く弦楽器。
Kanun(カーヌーン):アラブ音楽の「チター属の撥弦楽器」。
Setar(セタール):ペルシャの弦楽器。
Tar(タール):ペルシャ辺りの∞型の共鳴胴が特徴的な撥弦楽器。
Rabab(ラバーブ):イスラム諸国を中心に広範囲に分布する弦楽器の総称。様々な形状がある。
Zourna(ズルナ):トルコのラッパ。
Sornay(スルナイ ):ペルシャのラッパ。
Voice:ヴォイス・サンプルは非常に使えそうなクオリティで良いです。

Nay、Kamanche、Kanun、Tar、ZournaはEastWestのSilkとRaのどちらか、或いは両方に収録されており、SilkとRaを持っているので個人的には無くても問題ないですが、UVI World Suite以外で補填したいところ・・・。

ちなみに、Nayは尺八とそっくりな音ですので代用が効きます。


まとめ


インドもそうでしたが、中近東の楽器も打ち込みでの再現はかなり難しい所がありますね。特に弦楽器は複弦が基本ですから、その複雑な響きや弾いてない弦の共鳴音の再現は厳しいですね。
それにピッチも揺らしたり、微分音の再現をしたりとむずかしいです。

弦を擦って演奏する楽器のループ素材は、二胡もそうでしたがターキッシュ・リラも下手くそな奏者によるサンプルな感じがします。
ちょっと使いづらいかな。

あと、トラベラー機能が楽しいです^^