ちょっと前にEW SILKRaを買ってしまいました(^^;

お目当ては嗩吶(Suona)です。
中国のラッパですね。これが入ってる音源ってあまりないんですよねぇ。UVI「World Suite」にも収録されてないですし、BEST SERVICE「ETHNO WORLD 6 COMPLETE / BOX」にもないみたいです。

ちなみにGarritan「World Instruments」に入ってます。この音源を持ってるのですが、Suonaもそれ以外の楽器もやはり表現力やクオリティがSilkの方が上なはずだと思ったので悩みまくった末、キャンペーンに乗せられて手に入れちゃいました^^

という訳で、早速レビュー!

※記事を分割してたのですが、1記事にまとめました。

管楽器

巴烏(Bawu)

Silkにのみ収録。

横笛なんですが、吹口にはリードが仕込まれていてフルート等とはちょっと違います。
中国雲南省、タイ、ベトナムの山岳地帯で使用されている楽器だそうです。

Silk


横笛なのに尺八のような音がしますね。

アーティキュレーションは2種類のサスティーン(息多めと少な目)とアタック音に変化のある音、音量変化のあるロングトーン、Fx、といった内容でSilkの中では少なめですが、そこまで奏法を切り換えなくとも十分な表現力があると感じます。
MIDI CC1でダイナミクスを書いていけばバッチリです!


笛子(Di-zi)

SilkとRaの両方に収録。

横笛です。
Silkの方はSmallとLargeの2種類があります。
おそらく以下だと思います(推測です)。

Small = 梆笛(Bang Di)
Large = 曲笛(Qu Di)

RaはSmallのみのようです。

デモ音源では短いフレーズと特徴的なアーティキュレーションを付けました。
Silkの方はFlutterTremolo(Tremoloというよりスタッカートみたいですが)の2つ、
RaTrillTremoloFlutterの3つです。

Silk


Ra


Raも悪くはないですが、Silkの方が艶があり、ピッチの揺れる感じがリアルな感じです。RaのTremoloとFlutterはカスれちゃってますね。Trillは打ち込めばいいのでわざわざ奏法を切り換える必要を感じません。
Silkの笛子は素晴らしいです!


笙(Sheng)

Silkにのみ収録。

雅楽とかで使われる管楽器ですが、中国のと日本のとで違いはあるようです。

Silk


一応アーティキュレーションはトレモロが複数あったりスタッカートがあったりしますが、うまいこと再現するにはそれだけじゃダメそうです。ベタ打ちでは管楽器特有の揺らぎが再現されないのでMIDI CCを駆使する必要がありそうですが、難易度は高そうです。


嗩吶(Suona)

Silkにのみ収録。

ダブルリードの木管楽器でチャルメラの仲間です。

Suona1とSuona2があり、後者の方が若干音域が低いのでアルトとテノールみたいな感じでしょうか。
Suona1の方がアーティキュレーションが豊富ですが、あまり使い道のない物ばかりな気がしました。なのでSuona2が表現力で劣るということはないでしょう。

デモ音源はSuona1です。

Silk


Suonaは鳥のさえずりのような音が得意なのですが、その独特なニュアンスの再現は厳しそうです。打ち込みで再現するのが難しいのだと感じました。とはいえ、それ以外は十分素晴らしい出来と言えます。


簫(Xiao)

Silkにのみ収録。

竹管を使った尺八みたいな感じの縦笛です。

デモ音源は、短いフレーズとTrillのパッチとTrillをピッチベンドで再現した音になります。

Silk


息の量と楽器の音のバランスが絶妙に感じます。リアルです。ビブラートの感じもとても良いです。

MIDI CC1にてサスティーンからビブラートへ切り換わる「Xiao NVVB DXF.ewi」というパッチがあるのですが、それだとTrillは別で読み込まなくてはなりません。そこでピッチベンドでTrillを再現してみました(デモ音源の後半)。
個人的には打ち込みを手早く済ませたいので「Xiao NVVB DXF.ewi」だけでどうにかしようと考えました。確かに収録されたTrillの音を使うに越したことはないのですが、ピッチベンドでもそんなにダメじゃないと感じました。いかがでしょうかね?


擦弦楽器

弦を弓で擦って音を出すタイプの楽器。

京胡(Jin Hu)
二胡(Er Hu)
中胡(Zhong Hu)

(↑英語、合ってる?)

おそらく一番使用頻度が高くなりそうなのは二胡だと思いますので、二胡について詳しく書いていきます。
京胡も中胡も質感は大差ないと感じですし、アーティキュレーションの数が二胡に比べて少ないですが、なんとかなるレベルじゃないかと思います。
そもそも二胡のアーティキュレーションの数が多すぎな気が・・・(^^;


二胡(Er Hu)の聴き比べ(Silk vs Ra)

Silk①と②の違いは、最後のロングトーンで違うパッチを使用している点です。
詳細は後述します。

Silk①


Silk②


Ra


Silkの方は質感はとても素晴らしいです!
Raはうまく言えませんが、ちょっと安っぽいというか・・・。
それでもUVI World Suiteよりは良いです。UVIのは申し訳ないが使い物にならなかったですから。
UVI World Suiteの記事はUVI World Suiteレビュー【中華編】をご覧ください。


アーティキュレーションについて

Silkの方の話ですが、異様に多いです。
それだけ二胡に力を注いでいるのでしょう・・・きっと。

対して京胡と中胡のアーティキュレーションは少ないです。
ちょっと打ち込みに工夫が必要そうです。

Silk 二胡

Silk 京胡

パッチの種類について

Silkの二胡には、MIDI CC1で奏法を切り換えるパッチが4タイプあります。
レガートとノン・レガートとが切り換わるタイプが3つと、ビブラートがかかるようになるタイプです。
このMIDI CC1で奏法を切り換えるパッチはRaには無いようです。

他にもベロシティーで演奏ニュアンスが変わるパッチもあります。
これはSilkとRaの両方にありますが、Raの方が少ないです。
個人的にはあまり使わなそうなパッチなので気になりませんが。


Silkの二胡の欠点は?

質感もそうですが、RaではSilkの表現力には敵わなそうです。
二胡が欲しい方はSilkを買うべきでしょう。

なのでSilkの方の欠点をば。

「Sus Vib」パッチではベロシティー・チェンジが急過ぎる。

103から104で急に強くなるので使いづらいです。

ロングトーンではボウイングの返しでアタック音が入ります。

一定の長さになると自動で入るので、「あとちょっとだけでいいからそのまま伸ばしたいのに」なんてことも発生してしまいます。また、このアタック音がちょっと強すぎかなと感じる場面が多々ありそうな感じです。

こんな感じです(Sus NVというパッチ)。


ちなみに、Raだとボウイングの返しはなく一定の長さで音が切れます。

上の音源Silk①の最後のロングトーンは「Sus Vib」と「Exp」のパッチを組み合わせて作ってます。
※「Sus」はサスティーン、「NV」はノン・ビブラート、「Exp」はExpressiveの略で「表現豊かな」だそうです。EastWest特有のネーミングだと思います。

サスティーンからビブラートへの切り換わりでノイズ。

MIDI CC1でビブラートがかかるようになるパッチで「プチ」っとノイズが入ります。
上の音源Silk②の最後のロングトーンがそれにあたります。

これは前述のボウイングの返しのアタック音の影響かもしれません。中のプログラムが見れないので何とも言えませんが・・・。

サスティーンとビブラートは別トラックに読み込んで自分でボリューム描く等して対応するしかなさそうですね。上の音源Silk①はその一例です。

Hollywood Stringsでもサスティーンからヴィブラートへの処理が不自然らしいですし、EastWestさんはこの処理が苦手なのでしょうか・・・?

いくつかのパッチにノイズ。

「Leg Dn」等、いくつかのパッチの末尾に「プチ」とノイズがあったりするので使えないパッチもあります。まぁノイズがあるようなパッチは代用が利きそうなモノばかりのようですが。

レガートやスライドの調整できない。

一応スライドのパッチもあるのですが、速度やタイミングの調整できないです。
レガートも速度は一定でゆっくりスライドしていくようなパッチは無いみたいです。
ピッチベンドでやろうにもベンド量は上下1音で固定っぽいので、1音以上離れた音へのスライドは無理です。
Play6ではピッチベンドの変化量は調整可能です。

ピッチカートが無い。

まぁ、あまり使う機会はなさそうですが、GarritanにはあったのでSilkにも入ってて欲しかったかも。



撥弦楽器 & 打弦楽器

弦を弾いたり叩いたりして音を出すタイプの弦楽器。

古箏(Guzheng)
琵琶(Pipa)
揚琴(Yangqin)

古箏(Guzheng)

Silkにのみ収録。

日本の「琴」の祖先。

比較対象としてGarritanの方のデモ音源も載せてみました。

Silk


Garritan「World Instruments」


Silkはシンプルに音が良い!
さらにアーティキュレーションや色んなタイプのグリッサンド等と言った特有の奏法が豊富に揃っていて作りこみに役立ちそうです。


琵琶(Pipa)

Silkにのみ収録

日本の琵琶の祖先ですが、撥(バチ)ではなく指(爪)で弾くスタイル。
なので日本の琵琶は撥で弾くので代用はできませんね。

比較対象としてUVI World Suiteの方も載せてみました。
詳しくはこちらの記事をどうぞ。

Silk


UVI World Suite


UVI World Suiteのに比べて音が太い気がします。

UVIの方にはあったコード弾きがありませんが、それ以外の奏法は充実してます。
なのでソロの場合はSilk。簡単にバッキングを入れたい場合はUVIって感じで使い分けですかね。


揚琴(Yangqin)

Silkにのみ収録。

弦をばちで叩いて音を出す楽器です。

Silk


こちらも素晴らしいです!
アーティキュレーションも豊富です。



打楽器

Silkには打楽器がありません。
Raには打楽器が一応ありますが、中華系は銅鑼だけです。

打楽器(銅鑼)

Raにのみ収録。

いわゆるオーケストラにあるタムタムとかではなく、色んなサイズの物が並んで吊るされてるタイプのアレです。

Ra


重厚感のある音でよいのですが、種類が少ない!
叩き方を変えてるだけのような気もします。
他の民族楽器音源を持っとかないと足りませんね。



総合的に

他の民族楽器の総合音源ですとラウンドロビンになってる音源は見かけません(僕が知らないだけかも)。

SilkもRaも音色が少ない分、他の音源に比べて1つ1つの楽器のクオリティが高いと思えます。ただ、線が細く感じる音色もありました。EQとかでの調整が必要な場合ありですね。幸い優秀なエフェクターも備わっていることですので、それらを駆使していきましょう!

キースイッチに関してですが、SilkもRaも右下に一覧が表示されます。そのスペースが小さくてスクロールしないと何があるか確認できません。スクロールもやりづらい!ここはPlay6で改善されることを祈りたいところです。
Play6でも同様の仕様でした。

ベロシティーで奏法が切り換わるパッチもありますが、楽器によっては使いづらかったりベロシティーに応じた強弱がうまく付かなかったりするので注意が必要です。まぁそれはこの音源に限ったことではありませんが・・・。

全パッチで試したわけではないですが、どうやらlegatoまたはportamentoがオンになってるとキースイッチでスタッカートが鳴らなかったり、アタック音が弱くなるようです。バグってる!と思って焦りました、いや、バグってるのか?(^^;

ボイス系はないですし、打楽器はほとんど無いのでBEST SERVICE「ETHNO WORLD 6 COMPLETE」とかも合わせて持っておくのがベストでしょう。

月琴(yueqin)、阮(ruan)、排簫 (Paixiao)、葫芦絲(hulusi)あたりは欲しかったかも。特に阮(ruan)!
拡張パックとかでいいから追加されないかなぁ。